アメリカモーテル事情、その3(後編)

2007.05.14 Monday

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    で、通された部屋というのがめちゃくちゃ狭い。
    ベッドでいっぱいいっぱい、という感じです。
    でもまぁ、文句はいうまい。
    だって安いんだから。
    日本人の私達、狭い部屋なんていくらでも知っとるわい。
    その部屋は一階とはいっても半地下のようになっていて、通りに面した窓からは通行人がすぐそこに見えるわけですが、私達より少し高い立ち位置になるので、外からは部屋の全貌がまる見えということになり、なんだかちょっと恥ずかしいのでした。
    しかも窓の一枚はガラスが割られてはずされており、そこはダンボールとガムテープ(!)でふさがれているだけなのです。その辺り一帯は決してガラが良いとはいえない地帯であるにもかかわらず、そのうえ一階であるにもかかわらず、です。さらに、そのテープも外れかけていて隙間が空いているという状態です。
    それだけではありませんでした。
    部屋の大部分を占めているベッドを見ると、シーツも枕カバーも洗濯されてパリッとしてはいるのですが、どう考えても「血」としか思えないシミがあちこちにあるのです。
    血によく似ているが、血ではないシミというのをいろいろ考えてみましたが、それはどう考えても、間違いなく、やっぱり「血」としか思えないのでした。
    さすがに少し不安になった私達はフロントへ、窓のところのテープが取れてダンボールが外れそうだと訴えに行きました。
    すると返ってきた言葉は、
    「あー、今テープないねん。」
    「・・・・。」

    テープを買いに行って自分で直すことにした私達は(それでもホテルを替わろうとは思わない我々でした)、出る前に念のため、
    「あのー、この辺って危険?」と尋ねると
    「そんなことないよ、大丈夫!」と返ってきたので、少しホッとしていると、
    「あ、でも夜はちょっと危ない。」
    「!(やっぱり危険なんじゃないか!)」
    と声にはならずに思っているところへ、「ところで君達日本人?」と逆に聞いてきます。
    そうだ、と答えると「じゃ、空手できるやろ」と当然のように言うので、店主が「柔道ならやってたことある」というと、
    「じゃ、これを持ってたら大丈夫!!」と手渡されたものは・・・
    「ヌンチャク」でした。
    「・・・・。」
    訳の分からんやりとりを終え、我々はテープを買いに行き、何でこんなことしとるんやろう・・と思いながら、窓のダンボールをやり直し、ヌンチャクは使うことなく、無事翌朝チェックアウトしたのでした。
                            (おしまい)     

    アメリカモーテル事情、その3(前編)

    2007.05.12 Saturday

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      ジャジャーン!ワースト1です。
      名前は・・・・
      スイマセン、忘れてしまいました。
      ずいぶん前のことでもあり、たった一日しか宿泊しなかったので、本当に名前を忘れてしまいました。
      でも名前以外はちゃんと憶えています。
      そこはモーテルではなくホテルでした。
      当時私どもは現在の商売を始めて間もない頃で、アメリカ買い付けも初心者でした。同業者からしたら信じられないことかもしれませんが、その頃、我々はレンタカーを借りず、なんとタクシーで仕入れ先を回っていたのです。ですから当然モーテルに泊まるわけでなく、街のホテルに泊まるのですが、宿泊代なんかは当然一番切り詰めたい経費の一つでありました。そこで、その時乗り合わせたタクシーの運転手に、この辺りの知ってる中で一番安いホテルに連れてってくれと頼みました。
      その運転手はシルベスター・スタローンにそっくりで、まだタクシーの運転手を始めたばかり、ということであまり道をわかってない様子なのです。その辺の地理にあまり明るくない私たちでも明らかに道に迷っている、もしくは必死で探しているのだ、と分かるくらい無意味に車を走らせているのでしたが、とても一生懸命なのは痛いほどよく分かるのでした。
      結局連れて行ってくれたのは、最初にそのタクシーを拾った道の、一本横の通りのほぼ同じ位置にあるホテルで、まったく歩いた方がよっぽどか早かったわ、という場所だったのでしたがスタローンは一生懸命やってくれました(そこではタクシー料金はゾーン制なので、一つのゾーンの中ではどれだけ走っても料金は一緒)。彼には礼を言って、チェックインすることにしました。
      私どもはモーテルなどではいつも一階の部屋を希望します。
      安全面からすると不安なところはありますが、買い付けのときはとにかく荷物が増えるので出し入れのことを考えると断然一階の方が楽だからです。
      そこのホテルでも当然、一階を希望しました。
                        (つづく)

      アメリカモーテル事情、その2(後編)

      2007.05.08 Tuesday

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        早速フロントへ行ったのですが、深夜でもあり、そのようなクレームに対応できる人間がいなかったので、翌日に持ち越しとなりました。
        翌朝はチェックアウトすることになっていたのですが、その前に前夜の事件で台無しになった商品を弁償してもらうことを申し出ました。
        ずいぶん前のことで詳しいやりとりは忘れましたが、「うちがやったんじゃない」とかなんとか、あーでもないこーでもないと交渉は難航しました。さもありなん、相手はインド人です(東海岸中部ではモーテル経営者はインド人がとても多い)。
        そこで争点を変えて、宿泊代の値引きということで交渉することにしました。
        そちらでもすんなりとこちらの要求は通りませんでしたが、最後には折り合いもついて、詳細な金額は忘れましたが、納得のいく金額を値引きしてもらいチェックアウトしました。
        それから約三ヵ月後、またアメリカの同じ町に来た私たちはまた同じモーテルに行きました(再び行く私たちも私たちですが・・・)。
        すると外にはデカデカとVACANCY(空き部屋あり)とのネオンが大きく輝いているにもかかわらず、「部屋はない」といいやがるのです。
        しかも前はいなかった、デカくて獰猛そうな犬まで飼っているのです。
        フロントの横に据えられたオリの中にいるその犬は、見るからに凶暴そうで、私達にむかって猛獣みたいに吠えているのです。
        「早よ、出したらんかい!いてまうぞ、ワレ!」という感じで、オリがなかったら私なんか十秒で食われてしまうんだろな、という様子でした。
        私たちは「ケッ、もう来るかい!」と日本語で捨て台詞を残し、そこを後にし、もう二度と泊まることはなかったとさ。
                                (おしまい)